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不倫で離婚した場合のメリット・デメリット

不倫で離婚した場合のメリット・デメリット

不倫で離婚する場合、メリット・デメリットがある

今回は、配偶者または自分の不倫が原因で離婚する場合のメリット・デメリットを解説します。

離婚の原因として非常に多く挙げられるのが、「不倫」です。裁判所が発表している「平成28年度司法統計 婚姻関係事件数―申立ての動機別」によると、「異性関係」を理由に離婚を申立てた件数は妻側が8357件、夫側が2594件。男性側の不倫による離婚の数は、女性の2倍以上であることが分かっています。

しかしその実態は、配偶者が不倫をしていたことを知って離婚を検討している、または自分自身が不倫をしていて離婚をしたいと考えている、お互いに別の相手と不倫しており“仮面夫婦状態”……など夫婦によって様々。

一般的に、「離婚」の二文字にはマイナスイメージが持たれがち。一度は愛を誓い合った二人による泥沼の修羅場、離婚後の経済的困窮など最悪の状況を連想する方も多いでしょう。

しかし、離婚にも明るい側面があることをご存知でしょうか?離婚という大きな決断をきっかけに、幸せな第二の人生を切り拓いた人も少なくありません。

ご自身の状況に当てはめつつ、慎重に検討してくださいね。

不倫による離婚のメリット

心機一転、新しい人生を歩むことができる

ネガティブな要素ばかりが注目を集める「離婚」。しかし、離婚によって幸せを掴んだ人もいます。既に愛情も信頼関係も壊れてしまった人とひとつ屋根の下で家族として一緒に暮らし続けるのは、とてもつらいこと。疑心暗鬼になりながら夫婦を演じるよりも、お互いに新しいパートナーを見つけた方が幸せになれることもあるでしょう。

離婚によって幸せになる人のキーワードは“精神的・経済的に自立していること”です。今の配偶者と別れても自分の力で生活水準を維持し続けることができるのであれば、離婚に踏み切っても良いかもしれません。

子どもがない夫婦にとってはそこまでハードルが高くありませんが、幼い子どもがいる場合は慎重に判断するべきです。配偶者の不倫が原因で離婚する場合、自分自身はスッキリするかもしれません。しかし子どもの気持ちを置き去りにしていないか、事前によく考えましょう。離婚によって子どもが経済的に苦労したり、寂しい思いをしたりしないでしょうか。

子どもがいる夫婦の方は、以下の具体的な条件に当てはまるかどうか確認してから離婚を決めましょう。

  • 配偶者なしで子どもを養える経済力があること
  • 実家の両親や兄弟姉妹、友人など、いざという時頼れる人がいること
  • 精神的に自立していること(孤独に強い、問題解決能力・決断力がある等)

とくに離婚経験がある友人の存在は、心強いでしょう。日本の離婚率は年々増加しているものの、まだまだ少数派。“バツイチ”“シングルマザー”に対する偏見が根強いため、誰にも相談できずひとりで悩みを抱えてしまう人も少なくありません。そんな時に同じ立場の仲間と話せると、不安や孤独感が解消されるでしょう。

離婚して不倫相手と一緒になった人は幸せになれるのか?

離婚後、不倫相手と幸せになりたいと考えている人もいるようです。配偶者を裏切って離婚した人が、果たして幸せになれるのでしょうか?

これについては、ケース・バイ・ケースとしか言いようがありません。不倫された側にとっては認めたくないことかもしれませんが、「結婚後に運命の人に出会ってしまった」という事例もゼロではないのです。

ただし、これはかなり稀なケース。不倫は「現実逃避」「一時的に燃え上がっただけの短命な恋」であることがほとんどです。既婚者としての責任や平凡な日常生活から逃げるために不倫に溺れている場合、離婚した途端に気持ちが冷めてしまうことが往々にしてあるようです。

離婚前はドラマチックで情熱的な恋愛に思えても、いざ不倫相手との関係が「日常生活」に切り替わると急に色褪せてしまうもの。そうなると、不倫相手と再婚したとしても、さらに別の不倫に“逃げる”ことになります。
さらに慰謝料・養育費の支払い義務を負っている場合、経済的な余裕のなさが原因であっけなく絆が壊れてしまったという実例も多く報告されています。

相手の不倫が原因なら慰謝料を請求できる可能性がある

相手の不倫が原因で離婚する場合は、“有力な証拠があれば”慰謝料を請求できる可能性があります。証拠がないと、第三者に不倫の事実を証明することができません。泣き寝入りすることにならないよう、離婚を切り出す前に証拠を慎重に収集しましょう。

不倫の証拠は、“ふたりの肉体関係があることを証明するもの”である必要があります。「ラブホテルに二人で入る瞬間の写真」「肉体関係を匂わせるLINEメッセージのスクリーンショット」などが定番。自分のみで集めるのが難しければ、探偵に依頼することも検討しましょう。

配偶者があっさりと不倫の事実を認めた場合には、自白の内容を書面やボイスレコーダーに残すのもアリです。
不倫による慰謝料の額は事例によってまちまちですが、一般的に「婚姻期間の長さ」「不倫前の夫婦関係の円満度」「子どもの有無」「不倫期間の長さ」などが考慮されます。

不倫による離婚のデメリット

離婚の手続きに労力を要する

「結婚よりも離婚の方が大変」という経験談を耳にしたことがある方も多いでしょう。実際、離婚にはとてつもない労力がかかります。とくに子どもがいる場合、養育費や親権者、面会交流などについても決めなければなりません。

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双方がお互いの主張に納得していれば、話し合いによる“協議離婚”のみで完結します。しかし話し合いがまとまらない場合は“調停離婚”、さらに“裁判離婚”と泥沼化していくおそれもあります。
離婚以外にも、

  • 住民票の移動
  • 年金・保険の加入、変更
  • 名義変更
  • 印鑑登録
  • 引っ越し
  • 子どもの転校手続き

など煩雑な手続きを並行してこなしていかなければなりません。

離婚は時間やお金(弁護士費用など)がかかるだけでなく精神的にも疲弊するため、離婚が成立した時にはへとへとになってしまったという意見も多く寄せられています。

自分が不倫していた場合、離婚を請求できない可能性がある

裁判上の離婚では、有責配偶者(離婚原因を作った側の配偶者)から一方的に離婚をすることは原則としてできないとされています。

「不倫相手と一緒になりたい」と思って離婚を求めても、配偶者が頑として応じなければ離婚できない可能性が高いのです。

その理由としては「家族を裏切って不倫相手と幸せになるなんて許せない」「離婚すると経済的に困る」「子どもが可哀想」などが挙げられます。

現在の日本の法律では「理由が何であれ実際に夫婦関係が破綻しているのなら仕方がない」として離婚を認める“破綻主義”よりも、「夫婦関係を破綻させた責任を問う」“有責主義”を重視しています。

そのため、既に夫婦関係が壊れているにも関わらず有責配偶者からの離婚請求は認めないケースが多いのです。

不倫していた側からの離婚が認められるケースとは

いかなる場合も、どれだけ時間が経過しても有責配偶者からの離婚を一切認めないとなると少々やりすぎです。いくら法律でも、人の心を縛り続けることはできません。
例外的に、以下の条件に当てはまる場合は有責配偶者からの離婚を認めてよいとされています。

  • 長期間別居し続けている(8~9年以上)
  • 未成年の子どもがいない
  • 離婚によって配偶者が精神的・社会的に過酷な状況に置かれない

2つ目の条件については、高校卒業を間近に控えた子どもがいる夫婦について有責配偶者からの離婚を認めた判例があります。この判例では、別居中の夫が定期的に送金を行っていました(最高裁判決平成6年2月8日)。

自分が不倫していた場合、慰謝料を支払うことになる

不倫による離婚のメリットとして「相手の不倫が原因なら慰謝料を請求できる」ことをご紹介しましたが、立場が逆の場合は大きなデメリットとなります。
自分の不倫で離婚する場合、様々な面で不利になります。相手が有力な証拠を持っている場合は、慰謝料を支払うことになるでしょう。
不倫しているのが事実であっても証拠がないケースにおいては、慰謝料の支払いを免れることもあるようです。

相手が親権者になると、子どもと離れ離れに暮らすことになる

離婚によって、子どもと離れ離れに暮らすことになるかもしれません。とくに育ち盛りの子どもの成長を間近で見守ることができないのは、非常に辛いでしょう。

親権者は基本的に夫婦間の話し合いによって決定し、合意が成立しなければ家庭裁判所が代わりに親権者を選ぶことになります。

不倫をした有責配偶者は一見親権者として不適切に思えるかもしれませんが、実際には不倫以外の要素によって親権者を判断しています。

とくに10歳未満の子どもの場合、母親が親権者として圧倒的に有利です。母親が有責配偶者のケースであっても、です。虐待や育児放棄、健康状態の悪化など余程の事情がない限りは、母親が親権者に選ばれることがほとんど。

10歳以上15歳未満については、子どもの発育状況や現在の監護状況、そして子ども自身の意志が考慮されます。15歳以上になるとひとりの人間としての意志を尊重し、子どもが決めることになります。

シングルマザーは経済的にも精神的にも想像以上に大変

女手一つで子どもを育て上げるのは、想像以上に大変です。自分の生活費だけでなく、子どもの生活費・教育費も稼ぐとなると相当な覚悟が必要。元夫からの慰謝料・養育費や実家からの援助、公的支援などを合わせて、本当にやっていけるのか充分に検討しましょう。

とくに大変なのが、自分自身が体調を崩した時。子どもが既に大きく成長している場合は逆に看護してくれるかもしれませんが、幼い子どもを抱えているシングルマザーは深刻です。

真の自立とは、依存先を増やすことだと言われています。「自分の責任で離婚するのだから誰にも頼れない……」と思い詰めるのではなく、頼れる存在を今から増やしておくことが大切です。実家の家族、友人、役所、シングルマザー仲間などに正直に事情を打ち明け、頼ってみましょう。

結婚の時に祝福してくれた周囲の人達に対する気まずさ、世間の厳しい目

結婚する時に祝福してくれた家族や友人、同僚たちへの気まずさや申し訳なさもあるでしょう。結婚時のことを思い出すと、なかなか打ち明けにくいかもしれません。
大切なのは、率直に事実だけを伝えてから「あんなにお祝いしてくれたのにごめんね」と謝ることです。離婚理由が何であれ、謙虚な姿勢を示すことで周囲の理解を得られるようになるでしょう。

逆にやめた方がいいのは、配偶者を盛大に罵ること。「自分は一切悪くない、不倫していた相手が100%悪い!」と言いたいのはやまやまかもしれませんが、そこはグッと我慢しましょう。二人のために時間とお金をかけてお祝いした周囲の人は「そんな配偶者を選んだのは自分なのに」「どっちもどっちだなあ」と思い、呆れて離れていくかもしれません。

「相手の不倫が原因だった」とだけ淡々と述べてからは、ひたすら低姿勢を貫いた方が味方も増えるでしょう。

不倫による離婚を決断する前に、弁護士に相談を

離婚も一長一短ですから、幸せになるか不幸になるかは自分次第。経済状況や子どもの有無などを考えながら、慎重に決断しましょう。
少しでも自分にとって有利に進めるためにも、配偶者に離婚を切り出す前の早い段階から弁護士に相談することをお勧めします。経験豊富な弁護士なら、証拠集めのアドバイスや金銭面の交渉など的確にサポートしてくれるでしょう。

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